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ユニバーサル・ミュージック
 
ポール・ウィンターが考えるユニバーサル・ミュージックとは~

 

私は、「音楽の最も崇高な使い道とは何か」ということについて考え、音楽が持つそうした特別な力を探し求めてきました。その結果、「時代を超越した美しい音楽を作ること」が私の最も重要な芸術面での目標であることに変わりはないものの、すべての人たちが自ら声や音を出す体験をし、最終的には自分の音楽作りを行うことを奨励することもそれと同じくらい大切なことではないかと考えるようになりました。

 

私は、これまで幾度となく行ってきた参加型のミュージック・ワークショップにおいて、人々が自分を音楽によって表現し、それを通じて周りの人間や環境と接することによっていかに多くのインスピレーションを得るかということを見てきました。声や音で自分を表現するということは、人間が生まれながらにして持っている権利であり、それを他の人たちと共有することは、人生の中で最も大きな喜びの一つでしょう。それとは反対に、自己表現が妨げられると、人は自分の外面に充足感や力を求めるようになり、それが現代社会を蝕んでいる大量消費、暴力、自然破壊の根底にある原因になっているような気がしてなりません。

 

そうした長年にわたる探求の末に私が得た答えが「ユニバーサル・ミュージック(普遍的な音楽)」です。

 

私が心に描くユニバーサル・ミュージックとは、世界のあらゆる文化圏の人たちにアピールし、誰もが一緒に歌ったり踊ったりしたくなるような音楽の新しいジャンルです。その基本となるのは、「地球のリズム」をベースにしたシンプルできれいなメロディーです。言語を歌詞として用いるとそれを話せない人たちが参加できなくなるため、メロディーは歌詞を用いずに歌われます。

 

ユニバーサル・ミュージックでは、これまでと同じように自然界の声や音も盛り込まれます。動物たちの声や歌は、メロディーのテーマとなって音楽の中に織り込まれていきます。そして地球共同体の多様性を表すさまざまなアコースティック楽器が、そのテーマに合わせて奏でられます。

 

理屈や言語の壁を超越した普遍的な音楽には、世界中の人たちの心を一つにするだけでなく、自己表現を通じて「今この瞬間を生きている」実感を一人一人に与えることができるのではないかと私は考えています。そうしたこれまでに認識されていない音楽の潜在力を引き出すことこそが、私がユニバーサル・ミュージックによって目指している目標なのです。

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