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リビング・ミュージックの設立者でありるポール・ウィンターは、世界のさまざまな文化の伝統、そして「地球上でもっとも偉大なシンフォニー」と呼ぶ「自然界の声」を長年にわたって自らの音楽に取り入れてきました。コンサート・ツアーやレコーディングで訪れた国は37カ国にのぼり、筏、ロバ、犬ぞり、馬、カヤック、ヨット、汽船、タグボート、ランドローバーに乗って6大陸の自然に足を運んでいます。

 

ポールはペンシルバニア州アルトゥーナ生まれ。5歳でドラム、ピアノ、クラリネットの演奏を始め、4年生の時にサックスを手にしました。友達と小編成の「リトル・ジャーマン・バンド」を結成し、ディキシーランド・ジャズのバンドを経て「シルバー・ライナーズ」という9人編成のダンスバンドを結成しています。最初に夢中になったのはビッグバンド、そして1950年代の小編成ビーバップの音楽でした。そして17歳でプロとしてツアーを行いました。

Paul Winter

シカゴのノースウェスタン大学在学中に結成したジャズ・セクステットが1961年の大学対抗ジャズ・フェスティバルで優勝し、伝説的なプロデューサーであるジョン・ハモンドの推薦でコロンビア・レコードと契約します。1962年、ポール・ウィンター・セクステットは米国国務省派遣のツアーを行い、6ヶ月で中南米の23カ国を訪問した。中南米で過ごしたこの6ヶ月は、本当の意味での文化や音楽の交流を通じてポール・ウィンターにさまざまな影響を及ぼしました。セクステットはブラジルのボサノバのシンコペーションを他に先駆けて取り入れ、後にジャクリーヌ・ケネディーの招待を受けてホワイトハウスで演奏した最初のジャズ・グループとなりました。

1960年代の半ば、ブラジルはポール・ウィンターにとって第二の故郷となり、数枚のアルバムを現地で録音しました。ブラジル・スタイルのギター、アフロ・ブラジル風のパーカッション、作曲家ビラ・ロボスの交響曲に触発されて1967年に結成された新しいアンサンブル、ポール・ウィンター・コンソートはポールが愛する多種多様な音楽を演奏するための音楽集団です。

 

「『コンソート』という名前は、シェークスピアの時代のアンサンブルであるエリザベス朝の劇団のハウスバンドの呼称から取りました。そこでは大胆にも木管楽器、弦楽器、打楽器を組み合わせて演奏したのですが、それが『現代のコンソート』で私が組み合わせたかったのと同じ楽器編成だったのです」と、ポールは振り返ります。

1968年に初めて耳にしたザトウクジラの歌は、ポールの音の世界に対する概念をさらに拡大しました。物悲しいブルースのようなオオカミたちの遠吠え、そしてクジラの美しくて複雑な歌がポールの心に蒔いた種は、その後に彼が発表したいくつかのアルバムで開花しました。彼の<アース・ミュージック(地球の音楽)>の原点にあるのは、こうした豊かな音のテクスチャー、そしてポール・ウィンターとコンソートが醸し出す特有のアコースティック楽器の音色の融合です。自然界の音がクラシック音楽やエスニック音楽と織り交ぜ合わされ、全体にジャズの自然発生的なスピリットが吹き込まれてポールの音楽が生まれるのです。

 

ポール・ウィンターが1980年に設立したレコード・レーベルであるリビング・ミュージックは、こうした音楽とエコロジーのサウンド・ビジョンを探求するレコーディングの場を提供し、音楽家たちが自らのアース・ミュージックを録音したり、より広い地球コミュニティーの音楽を人間のコミュニティーに伝えたりすることを可能にしました。これまでグラミー賞に6度ノミネートされ、4つのグラミー賞受賞作品を発表しているリビング・ミュージック・レコードの時代を超えた音楽は、森に囲まれた自宅の納屋を改造したスタジオのほかグランド・キャニオンのような自然の音響空間、そして世界最大のゴシック様式教会であるニューヨークの聖ヨハネ大聖堂で録音されます。ニューヨークの風物詩となっている毎年恒例の夏至コンサートと冬至コンサート、そして聖フランシスの誕生を祝う地球ミサの会場となるのもこの大聖堂です。
音楽を通じて活力をもたらし、音楽の美しさを通じて人々に絶滅危惧種の窮状を人々に訴えるポール・ウィンターは、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの2,000箇所を超える主要コンサートホールのほか、ワシントンのナショナル大聖堂、サンフランシスコのグレース大聖堂、ニューヨークの聖ヨハネ大聖堂、グランド・キャニオン、イスラエルのネゲブ砂漠などで演奏を行っています。

ポール・ウインターは、これまでグラミー賞を7度受賞しているほか、音楽による環境への貢献が認められ、国連グローバル500賞、国連環境計画功労賞、米国動物愛護協会ジョセフ・ウッド・クラッチ賞、フランシス・K・ハッチンソン・メダルといった数々の栄誉ある賞を受賞しています。

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